【日本株】日本株は割安という安易な論調に対する苦言

昨今、YoutubeやX等でアメリカ株は割高、日本株は割安という論調を目にすることが多いです。

ホントでしょうか?

今回は、日本と米国の大型株で構成されている主要な株価指数を利用して評価をしていきます。

個別銘柄を評価するわけではないので、具体的な企業名を出すのを避けたかったのですが、書きたい内容の性質上、指数の寄与率の高い銘柄の具体名は書いています。ただし、頭文字のアルファベット表記で記載しています(例:日本国株式会社→N社)。
なお、あくまでも指数に対しての評価であり、個別銘柄の評価ではありません。

※2025年3月8日(土)時点で得られる情報をもとに記述しています。

 評価に使用する指数

まず評価に使用する指数を整理します。

◎日本代表
・日経平均(株価換算係数方式)
→ F社や半導体銘柄などの値嵩株の影響が大きい。時価総額を無視。TOPIXよりもグロース寄り。

・TOPIX(浮動株調整後の時価総額加重型)
→ T社を筆頭に日本の伝統的な大企業の寄与が大きい。日経平均よりもバリュー寄り。

◎米国代表
・S&P500(浮動株調整後の時価総額加重型)
→ 米国の上場企業の時価総額の8割以上をカバー。NASDAQ100よりもセクターの偏りがない。

・NASDAQ100(浮動株調整後の時価総額加重型)
→ 外国企業も含む。ハイテク・成長企業が中心。

 EPSから考えたいが

実績EPSや予想EPSを用いて評価をしようと試みましたが、常に変化をする上に、どの値を信頼するべきかわかりません。大した根拠もなしに記載をしたくないですが、私が想定している1年後予想EPSをある程度の範囲を持って使いたいと思います。

※今後出てくる予想EPSはすべて私の妄想です。

 日経平均

日経平均株価の私の予想EPSは1900前後です。3/7(金)の終値が36,887.17なのでPERは約19.4倍です。

日経平均は株価換算係数方式で算出した値なのに、時価総額ベースで計算したEPSをもとにPERを計算している人が散見されますが、私は理解できません。

ちなみに、時価総額ベースだと2500程度の予想が出されていると思います。これで計算すればPERは15倍以下なので、見た目は割安に見えますね。

しかし、このインチキ指数はF社や半導体株が構成率の上位に名を連ねています。

F社が割安に見えますか?A社が割安に見えますか?

つまり、こんなデタラメな指数を見て「日本株は割安」だという評価などできるわけがないのです。

結論として、私は日経平均は「円建てのS&P500に連動するけど、その上昇の恩恵は受けられない指数」という評価をしています。

 TOPIX

TOPIXの私の予想EPSは185前後です。3/7(金)の終値が2,708.59なのでPERは約14.6倍です。

現在、日経平均よりもTOPIXの方が強い相場が続いています。これにより、「日経平均÷TOPIX」で表されるNT倍率が13.62倍まで低下しています。過去5年間ではこの倍率が14倍以上で推移することが多かったので、違和感を感じている方も多いかもしれません。

私はこの変化は当然だと考えています。

TOPIXは米国ハイテク株の下落の影響を受けやすい日経平均よりも下がりにくいからです。円高や関税問題はマイナスの影響を受けるかもしれませんが、米株の恩恵で異常に株価が吊り上がっていた銘柄の構成率がそこまで高くないので、下落幅は日経平均よりもマイルドになっています。

さらに特筆すべきは「TOPIX改革」です。これまでのTOPIXは銘柄数が多すぎることが欠点でしたが、これにより指数の質が上がることが期待できます。詳しくはJPXのHPをご確認ください。

ここまではTOPIXを高評価してきましたが、TOPIXが米ハイテク株の下落の影響を受けにくいということは、日本と米国の時価総額上位の銘柄には明確な違いがあるということになります。

米国の時価総額上位は「ビッグテック」と呼ばれる世界で圧倒的な存在感を示し続け、圧倒的な成長性を示し続けている企業が大半です。

対して日本の時価総額上位はT社を筆頭に伝統的な産業の企業が多く、成長率は「ビッグテック」には敵わない企業が大半です。

実際、日本の時価総額上位の企業は米国の時価総額上位の企業に比べてPERが低いです。PERは将来への期待を表してるわけですからね。

結論として、私はTOPIXは「安定感のある伝統的な大企業のおかげで底堅く、TOPIX改革で日経平均よりも期待できるが、寄与率上位の銘柄の成長率を考えると大きな上昇は望めない指数」という評価をしています。

 S&P500

S&P500の私の予想EPSは270前後です。3/7(金)の終値が5,770.20なのでPERは約21.4倍です。

これだけを見ると、日経平均やTOPIXよりも割高に見えてしまうかもしれません。

しかし、先ほども触れたように構成率上位の銘柄を見てください。EPS成長率が10%を超え、世界を支配する企業が大半です。

実際、我々の普段の生活で使っているものは、これらの企業のものばかりです。そして、常に最先端を突っ走っています。

割高と言われようが株が買われて当然です。割高に見えるだけなんです。

懸念としては、時価総額上位が情報技術セクターに偏っていることでしょう。原理的には米国全体の8割をカバーしているとはいえ、現在のようにハイテク株が軟調だと大きく下落してしまいます。

結論として、私はS&P500は「ハイテクへの偏りが気になるが、世界で最も正しい指数」という評価をしています。

 NASDAQ100

NASDAQ100の私の予想EPSは750前後です。この数値はかなり振れ幅が大きいので、妥当な予想はかなり難しいです。3/7(金)の終値が20,201.37なのでPERは約26.9倍です。

S&P500よりもハイテク、成長株に偏っているので、これが割高かどうかは各人の見方次第です。

S&P500を超えた圧倒的な成長性に賭けるならこれです。

しかし、懸念点もあります。AIへの投資です。現状ではAIが投資に対してどれくらいの収益を上げるかは不透明です。

とはいえ、今後もAI化の流れは止まることはないでしょう。その時の勝者は誰になるのか、それが問題です。しかしその企業はこの指数に含まれていることでしょう。

結論として、私はNASDAQ100は「S&P500よりもさらにハイテク寄りで上昇も下落も極端だが、指数の質は一級品」という評価をしています。

 指数の評価の結論

4つの指数を簡潔にまとめると以下のようになります。

日経平均:インチキ指数
TOPIX:安定感の指数
S&P500:正しい指数
NASDAQ100:爆発力の指数

 投資信託を見てみる

楽天証券の買付ランキングを見ると以下のようになっています(2025年3月8日現在)。比較のため、全世界株式(オルカン)も並べています。

1位:eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
   管理費用 (含む信託報酬) 0.0814%

2位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
   管理費用 (含む信託報酬) 0.05775%

13位:楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド
   管理費用 (含む信託報酬) 0.198%

16位:eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
   管理費用 (含む信託報酬) 0.143%

17位:楽天・プラス・日経225インデックス・ファンド
   管理費用 (含む信託報酬) 0.132%

個人投資家は賢いです。S&P500とオルカン、この素晴らしい低コスト商品を買っています。
こんな低コストで世界の成長に丸乗りできるんですから。

「日本株は割安だ」と煽るのであればせめて管理費用を安くしましょうよ。まあ実際は大した差にはならないですが、印象が全然違います。

信託報酬の高いゴミ商品を売らないと儲からないから、訳の分からないアクティブファンドを勧めたいのでしょう。何も考えずに1位と2位の商品を積み立てていればいいと思います。

プロでもインデックスに勝つのは困難ですし、そもそも自分の運用するファンドに自分のお金を入れてリスクを取っているか疑問です。

ちなみに、ほとんどの商品において為替の影響が大きいということは常に考えておかなければなりません。

 日本株の可能性

ここまでダラダラと書いてきましたが、日本株の最大の問題は「指数の質」だと思います。

私が日本の株価指数で好きなのは「JPXプライム150指数」と「JPX日経400」です。

この2つの指数は知名度がそれほど高くなく、また、商品もイマイチです。
ETFはザラ場の出来高が少なく、流動性の問題があります。投資信託も純資産額が小さいです。また、日経平均やTOPIXに比べてコストが高いです。

ただ、銘柄の選定の基準、指数の構想としては日経平均やTOPIXよりも優れていると思うので、日本のS&P500やNASDAQ100となることを期待しています。

ちなみに、私は今回取り上げた6つの指数に連動する商品はすべて保有しています。

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